丸亀が生んだ画家 猪熊弦一郎

三越包装紙『華ひらく』をデザイン

この包装紙をデザインしたのが猪熊弦一郎。「えっ!そうなの?それなら知ってる知ってる」と思う人も多いだろう。今や三越のシンボルとなり、包装紙に魅力を感じている三越ファンは多い。使い始めてから60年以上、色あせることなく人々に喜びを与え続けているって素晴らしい。

白地にモチーフが不定期に並んだインパクトのあるデザイン。何気に目にした方も多いと思うが、いったい何を元に制作されたのか…?

「石を並べて作った」と画伯。

三越=石?分かりづらい組み合わせである。

実はこのモチーフ、石が元になっている。画伯が海岸を散策中に波に洗われる石を見て浮かんだそうで、「人々が荒波に耐える石のように強くなってほしい」と願いを込めたという。
確かに!力強さを感じるわけだ。

モチーフには印象的な鮮やかで濃いピンク色。正式にはこの色、スキャパレリピンクという。包装紙の魅力をグン↑とアップしているなぁと感じる。ローマ生まれのファッションデザイナー、エルザ・スキャパレリ(1890~1973)が好んで使っていた色だという。

赤でもない紫でもないこの彩りは三越側も大変喜び、大切な色として、忠実に再現したそうだ。普段お目にかからない色名だが、色見本表にはちゃんとある。

デザインといい、色といい、画伯の斬新なアイデアが生み出した。商品を包むとパッと華やいだ雰囲気になり、花が開いたようなイメージだろうか。作品名は『華ひらく』。
高級感あり、気品あり、贈る側、贈られる側に華を添える役割を果たしてくれる。包装紙の力って素晴らしいなと改めて感じる。

ちなみに包装紙に描かれている“mitsukoshi”の文字を入れたのは、当時三越宣伝部だったアンパンマンの生みの親である「やなせたかし」さんだ。

三越のシンボルとなっている包装紙 華ひらく
三越のシンボルとなっている包装紙 華ひらく/1950
撮影:高橋章
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