職人の技 さぬきのめざめ 中股さん 玉井さん 香川さん

アスパラの最高級ブランドは香川県オリジナル

『さぬきのめざめ』という香川県オリジナル品種のアスパラガスが、都会の有名レストランや食通の間で人気を博している。特徴はなんといってもそのサイズ!長さは通常の2倍、50cmを超えるものもある。
見た目だけではない。大ぶりなその姿からは想像できないほど、みずみずしくて根元まで柔らかく、非常に美味しいとプロの間でも評判は上々だ。
丸亀市は、この『さぬきのめざめ』の中心的な生産地。生産者の集まり「丸亀アスパラガス部会」を代表して、香川さん、玉井さん、中股さんにお話をうかがった。

【取材2015年5月】

さぬきのめざめ親木
ここが香川さんのハウス内。ふさふさとした葉が生い茂った2m以上の木が植えられている

-アスパラガスというと地面からニョキニョキと生えたイメージですが。
私たちが食べているアスパラガスは、若茎(じゃくけい)と呼ばれる芽の状態なんです。出てきた芽を収穫せずにそのままにすると、このような成茎(せいけい)と呼ばれる親木になります。

-親木から出た芽を食べているということなんですね。
そうですね。この親木の下にはちょうど竹のように、根っこが伸びています。親木が光合成でつくった養分でその根っこから若茎が伸びてきます。これを夏芽(なつめ)と呼んでおり、だいたい11月くらいまで収穫することができます。

-夏芽以外にもあるんですか?
はい。アスパラガスの旬は春なんですよ。春に出る芽のことを春芽(はるめ)と呼んでいます。

-夏芽と春芽は、どこが違うのですか?
夏芽を出す親木は、11月半ばになると芽を出すのをやめて根っこに養分を蓄えるようになります。冬の間じっと力を蓄えて春に備えるんですね。やがて親木は枯れて刈り取ってしまうので、春のアスパラ畑は何もないところからニョキニョキっと、若茎が生えてきます。光合成の養分で生えてくる夏芽と違って、春芽は根っこに蓄えられた養分から生えてくるんです。春芽は複雑な甘みがあって味わい深い。夏芽はあっさりして淡泊な感じ。同じ株から取るのに味が違うんですよ。

-ずっと春芽を採ることは出来ないのですか?
根っこの養分がなくなってしまいますからね。ある程度のところで見極めて、若茎を伸ばして親木にしないといけません。そのあたりの見極めは経験ですね。春芽の収穫はだいたい4月くらいまで、そのあと11月くらいまでが夏芽の収穫、2ヶ月くらい根っこに養分を蓄える期間があって、春芽は早ければ1月くらいから収穫できます。ほぼ1年中収穫できることになりますね。

-種や苗を毎年植えるのではないのですか?
管理が悪かったら病気で枯れますが、適正な管理ができたら15年くらいは植え替える必要がありません。古くなった根は土に返り、新しい根が生えてくるんです。 1株で200本くらい芽が出るので、芽の茎の太さを見てどれくらいの高さまで育てるかを判断します。太いものは50cm、細いものは25cmのレギュラーサイズで出荷します。

-全部50cmになるわけではないんですね。
春芽は太いので、4月いっぱいはできるだけ50cm以上に育てます。温度が高くなる5月以降は、50cmに伸ばすと穂先が開いていって味が落ちるので、品質を保つために大きいサイズのめざめの出荷は4月までと決めています。つまり50cmサイズの『さぬきのめざめ』は、春芽だけなんです。

-ブランド戦略ですね。
『さぬきのめざめ』は(従来品種の)ウェルカムより収穫期間が短く、収量は少ないです。その分価値を高めようとしています。50cmサイズの出荷を4月いっぱいと決めることもそうですし、重さで段階分けして、最低1本105グラム以上ないと出荷しないようにしています。太いものになると300g以上になるのものもありますよ。出荷先は、主に東京や大阪といった都会で、百貨店などで販売されています。

さぬきのめざめ収穫
香川さんが左手に持っている棒が50cm。これを基準に収穫していく

さぬきのめざめ収穫
茎も非常に太く、はさみを持つ手も力が入る

-従来品種と『さぬきのめざめ』の違いは何ですか?
『さぬきのめざめ』の方が芽を出すのが1週間早いです。また伸ばしても穂先が開かない。木になろうとするのが遅いので、やわらかくて大きいサイズのアスパラガスで収穫できます。(従来品種の)ウェルカムは、ここまで大きく育てると食べられません。出荷量は年々増えて、現在では香川県内のアスパラガスの7割くらいが、『さぬきのめざめ』になってきてると思います。

さぬきのめざめ

ちなみに丸亀で生産されているアスパラガスは、グリーンアスパラのほかにホワイトアスパラ、紫アスパラがある。ともに生産農家は少なく、丸亀でホワイトアスパラを育てているのは中股さんを含めて3軒、紫アスパラは玉井さんのみだ。ともに他との差別化が目的で生産しているそうで、販売価格はグリーンアスパラの1.5倍から2倍くらいになるとのこと。『さぬきのめざめ』とともに、「丸亀産のアスパラガス」としてブランド化がすすむことが期待される。

さぬきのめざめ収穫
ホワイトアスパラは、日光を遮るハウスの中で栽培される

さぬきのめざめ収穫
ホワイトアスパラも、品種は『さぬきのめざめ』

さぬきのめざめ収穫
紫はポリフェノールの色。健康によいされている

さぬきのめざめ収穫
脱サラをして専業農家となった玉井さん

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