香川本鷹とは…

豊臣秀吉の時代、朝鮮出兵に加わった塩飽水軍が戦利品として拝領されたのが“香川本鷹”と言われ、香川県最古の農産特産物のひとつとされている。それから昭和中頃まで塩飽の島々で盛んに生産されていたが、安価な輸入品におされ、いつしか島の畑から姿を消し“幻の唐辛子”と呼ばれていた。

そして近年、香川本鷹復活プロジェクトにより塩飽諸島・手島の一軒のみで作られている。

 

唯一の生産者である高田正明さん(75)は「塩飽に伝わるせっかくの名産品。全国の人に伝えたい。」とその思いを語る。

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2月の終わり頃、香川本鷹は新しい苗を作るところからはじまる。

5月、7~10cmに成長したものを畑に植えると7月中旬には白い花が咲き誇る。

-栽培において一番重要なことは水の量の加減。-

水分が多いと大きくはなるが辛味が出ず、水分が少ないと辛味が出すぎる。天候との掛け合いのように、職人のカンで水加減を考えていく。

花が終わると実が生っていく。サヤの色は緑から朱色、そして赤色となり、ようやく収穫の時期を迎える。ヘタがくっつかないようにひとつひとつ手摘みで収穫するのはとても大変な作業。

さやの大きさ約5センチ。通常のトウガラシの約3倍の大きさです。

さやの大きさ約5センチ。通常のトウガラシの約3倍の大きさです。

さらに大変な作業は収穫後の選別作業。大きさ・色・形・無農薬のため虫食いなどもひとつひとつ確かめた後に機械で約60時間かけて水分15%くらいまでにする。

大量の本鷹に囲まれていると、特有の刺激でくしゃみや鼻水・咳・涙が止まらなくなる。それでも「島の財産だから大切にしていきたい。そして名産にふさわしい“いいもの”にこだわっていきたい」と高田さんは熱心に取り組んでいる。