うちわの町・丸亀だからこそ残されている明治~昭和初期の団扇絵。とても味のある絵柄がそろいます。
その風合いの再現をしたいと進めているのがこの「むかし団扇」企画。交渉の結果、あの職人さんにご協力いただけることになりました。
フリーペーパーVol1でご紹介した、三谷順子さんです。
制作を始めて15年目。’05年全国伝統的工芸品公募展で生活賞、’10年グッドデザイン賞特別賞の受賞歴もお持ちです。今年は、先日終了したばかりの瀬戸内国際芸術祭の公式グッズの1つのうちわを4000本以上制作され、とても多忙でした。すべて手作業ですから、気が遠くなりそうです。
前回の取材で「作っても作ってもおもしろいんです」とうちわ作りへの思いを語って下さった三谷さん。とても勉強家で、熱心にとりくまれ、丁寧な仕事をされます。
仕上がりがとても楽しみです。
早速『どんな団扇を作っていくか』打ち合わせをしました。歴史のある貴重な資料をもとに作るので「やっぱり雰囲気のあるいいものを作りたいですよね」!!!
オーソドックスな大きさ形のうちわなら、完成まで約2週間という計算でしたが、「いいもの」になるとその倍かかりそうです。商品完成を少しでも早くという気持ちでしたが、末永くご愛好いただける商品を目指して作っていくことにしました。
うちわに関して取材を通してある程度分かっていたつもりですが―。やっぱり分かっていないことだらけです。大きさ、形、紙、いろいろです。
絵柄をめいっぱい使える大きさは?
高級感もあって昔らしい形は?
いいもので貼りやすく、絵柄の色が雰囲気よく出る紙は?
貼りやすい泉貨紙、
和紙らしい雲流、
上質の奉書など、紙にもいろいろです。
理想は立派な手漉き和紙ですが、印刷の機会にかからないので、残念ながらうちわの貼りにはできません。
他にも全貼りにするか、窓を見せるか(柄の上側でうちわの骨を見せるか)、柄の形など…。
うちわの「いいもの」の代表と言えば、うちわの骨が小割になっているもの。
普通のものより倍あります。見比べると分かりますが、小割のうちわは本当に美しいです。
形は、上品な雰囲気を持つ玉子型がいいなあ!と。
世界一のうちわの町ですが、手間と時間を要することから、小割を作る方はなかなかいないようです。もちろんお値段も少々高めです。が、手に取ってみると、いいものって惹かれますよね、そういったうちわができたらいいなと思っています。(N)